らくちんラボの理念とミッション

Philosophy and Mission

高齢者や障がい者が健常者と区別なく生活できる“ノーマライゼーション”の考え方が注目されています。障がいのある人から社会のバリアを取り除くことが求められていますが、果たして社会のバリアは十分に明らかになっているのでしょうか。社会の中にあるバリアは多様化・複雑化しています。これらのバリアを幅広い視点から明らかにし、適切に支援することが、今、求められているでしょう。私たち九州大学らくちんラボは、キャンパス内に存在するバリアをつぶさに探し、適切な支援方法を考えています。私たちは、この取組みが共生社会の実現につながることを願っています。


多くの学生や教職員が生活し、様々な来訪者が訪れる大学キャンパスは、まさに社会の縮図です。大学キャンパスで生活し、多様なバリアに直面されている当事者の方々の目線に立ち、新しいバリアフリー環境のあるべき姿を探り、インクルーシブ社会のモデルとなる大学キャンパスを構築していくことが私たちのミッションです。


九州大学は、平成28年に障害者差別解消法が施行され合理的配慮が義務化されたことに伴い、障害者支援推進専門委員会を設置し、幅広い障害者支援に取り組んで参りました。インクルージョン支援推進室を軸に、障害がある学生や教職員への日々の個別サポートと合理的配慮の充実に努め、キャンパス整備においては、最新の基準に則ったバリアフリーの環境づくりを進めて参りました。しかし、障害がある当事者の方々の多様なバリアに対する支援はまだ十分でなく、当事者の目線に立ったバリアの解明と、インクルーシブな新しいバリアフリーのアイデアが求められています。


平成30年度、九州大学は障害者支援推進専門委員会のもとにキャンパスバリアフリー検討研究会を発足し、まだ社会にない新しいバリアフリーを推進してきました。同研究会の活動期間終了に伴い、令和4年4月にキャンパスライフ・健康支援センターに新たに発足した『らくちんラボ』は、同研究会メンバーが引き続き参加しています。らくちんラボは、医学、心理学、発達障害学、色彩、視覚、音響、グラフィックデザイン、建築デザイン、都市計画、交通計画、まちづくり、情報技術等の多様な分野を専門とする教員、および、大学の学生支援、環境安全管理、施設計画を担う各部署の職員で構成しています。これからも、各領域の知見を有する教員とキャンパスの環境づくりを担う職員がタッグを組み、障害当事者の方々とともに、未来型バリアフリーの実現につながるバリアフリースタンダードをつくって参ります。

新しいバリアフリースタンダードを創出する三位一体の取組み


①共同創造

当事者と研究者(専門家)と実務者(大学職員、学外デザイナー等)の三者の共同創造により、キャンパスのインクルージョンを推進しています。

②研究を活かした実装

大学が持つ先進的な知のシーズを活かし、当事者ニーズに即したプロトタイプを案出し、社会に先駆けてキャンパスに実装し、社会実装へ展開しています。