【色覚多様性】2020年度 SDA賞に入選!
2020年3月に九州大学伊都キャンパスに実装したキャンパス案内図が、2020年度のSDA賞(日本サインデザイン賞)に入選し、加えて、九州地区賞を受賞しました。SDA賞は、日本サインデザイン協会が主催する国内唯一のサインデザインの顕彰制度で、1966 年以来 53 年間続く歴史ある顕彰の場です。
今回受賞したキャンパス案内図は、色覚の多様性に配慮したカラーユニバーサルデザインを実施したサインです。赤、青、緑の3つの色に対して、3色とも識別できる方もいれば、2色だけ識別できる方もいます。九州大学のキャンパス案内図は、3色覚の方にも2色覚の方にも識別できるカラーデザインを実施したものです。
従来のカラーバリアフリーは、3色覚カラーで配色した後に、2色覚が識別できる色の組み合わせに留意しながらカラーリングを改善しますが、今回のキャンパス案内図はこの従来のデザイン手順と逆の発想で、2色覚カラーで配色をデザインした後に、3色覚が識別できる色の組み合わせに配慮してカラーリングしています。「2色覚を基点に」カラーデザインをするという新しいコンセプトでつくったサインです。とても素敵なデザイン手法です。このデザイン手法は、芸術工学研究院の須長正治教授が提唱したもので、須長先生の研究をもとに完成した「色見本」が、このデザイン手法を可能にしました。
キャンパス案内図のデザインは、サインデザインの第一線で活躍するデザイナーの中牟田麻弥氏を招き、色数が限られた2色覚カラーをもとにサインデザインをおこないました。色数の制限をマップ表現のスリム化で解決する引き算のデザインで、より見やすく分かりやすいキャンパス案内図が実現しました。このサイン実装の取組みは、先進的な研究シーズと高度なデザインノウハウが融合することで実現した新しいバリアフリー共創デザインの取組みです。
案内図の文字は、芸術工学研究院の伊原久裕教授のチームが開発したUDフォントである「K-UDフォント」を用いています。多くの人が見やすく読みやすいフォントです。
本作品を含め、今年度のSDA賞受賞作品は、「年鑑日本の空間デザイン 2021」(出版:六耀社)に掲載される予定です。
受賞作品:九州大学キャンパス案内サインリニューアル計画
主な関係者:
プロデューサー:九大キャンパスバリアフリー検討研究会
プロデューサー:九大キャンパス計画室
プロデューサー:九大キャンパスライフ・健康支援センター
ディレクター:九大施設部
ディレクター:九大学務部
デザイナー:メッド 中牟田麻弥氏
ディレクター:九大芸工 須長正治氏
ディレクター:九大芸工 伊原久裕氏
ディレクター:九大キャンパス計画室 坂井猛氏
ディレクター:九大キャンパス計画室 鶴崎直樹氏
ディレクター:九大土木 樋口明彦氏
ディレクター:九大キャンパスライフ・健康支援センター 羽野暁氏
アドバイザー:九大理事・副学長 丸野俊一氏(応募時)
アドバイザー:九大理事・副学長 安浦寛人氏(応募時)
アドバイザー:日本デザイン振興会 加藤公敬氏
クライアント:九州大学
施工者:トラスト
調査・制作スタッフ:九大ピア・サポーター学生
九州大学伊都キャンパス椎木講堂前交差点に設置したキャンパス案内図
九州大学芸術工学研究院 須長研究室で開発された色見本
2色覚を基点にしたカラーデザインコンセプト
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