シリーズ第2回『色のバリアフリー』を開催しました
7月27日(土)、バリアフリーシンポジウムシリーズの第2回『色のバリアフリー』を開催しました。今回は、九州大学芸術工学研究院の須長正治准教授を招き、色覚の多様性について話題提供をいただきました。3種類の錐体視細胞の欠損に伴う色覚異常のメカニズムから、2色覚の混同色を避けた配色を基点に3色覚に向けて配色を展開する「2色覚を基点としたカラーユニバーサルデザイン手法」まで、カラーバリアフリーの実現に向けた基礎知識とデザインの実践に関するお話をいただきました。
日本人の20人にひとりの男性、500人にひとりの女性が色覚異常であるといわれています。全国には、約320万人の色覚異常の方がいらっしゃる計算になります。多くの人に届くカラーバリアフリーは、やはり喫緊の課題でしょう。
後半のクロストークでは、会場からの声を受けて、公共サインにおけるカラーバリアフリーの普及に向けた発信のアイデアや、色相の変化の数式化と人が感じる色目との兼ね合い、色覚異常の方の強みなどを考えました。また、教育の現場から、色覚検査が無い現在は色覚異常の生徒が分からないため、黒板の板書では色の表現を用いず「角を付けて囲む」、「雲のように囲む」など形状で示している現状も紹介いただきました。
2003年から廃止された色覚検査。就学や就職における差別など人権的な配慮もありますが、結果的に色覚異常に気付く時期を遅らせている現状があります。幼稚園の塗り絵で混同色が分からず、薄いオレンジのつもりで水色で顔色を塗った園児の話題。色覚異常に配慮したクレヨンとともに、色覚異常に気付き対応できる先生の力量も求められるでしょう。
今回のバリアフリーシンポジウムも、第1回と同様に『気付き』の多い時間となりました。
須長先生、ありがとうございました。
<第2回 色のバリアフリー>
九大がつくるカラーバリアフリーキャンパス
令和元年7月27日 13:30-15:00 九州大学伊都キャンパス伊都ゲストハウス
■ 話題提供
須長正治 氏 九州大学 芸術工学研究院 准教授
■ フリートーク パネリスト
須長正治 氏 前掲
吉武果実 氏 大分県立日田高校/QFC-SPリサーチ生
羽野暁 九州大学 キャンパスライフ・健康支援センター 特任助教(九州大学 キャンパスバリアフリー検討研究会事務局)
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